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会社の経営状態を見抜く5つの秘訣 11月 21, 2009

Posted by hyhy in Other.
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■財務諸表に書かれているのは企業の3つの活動だけ
まずは、PL(損益計算書)、BS(貸借対照表)、CS(キャッシュフロー計算書)という基本財務3表に何が書かれているかというところから話を始めましょう。実はPL、BS、CSに書かれていうことは極めて単純なことだけです。PL、BS、CSには企業の基本的な活動である お金を集める → 何かに投資する → 利益をあげる という3つの活動が書かれているだけなのです。全ての企業に共通する活動がこの お金を集める → 何かに投資する → 利益をあげる という3つの活動であり、この3つの活動をPL、BS、CSで表しているのです。図を見ながら説明していきましょう。

「どうやってお金を集めてきたか」ということがBSの右側に表されていて、その集めてきたお金が「何に投資されているか」ということがBSの左側に表されています。そして、PLで「どのように利益をあげているか」ということが表されています。

 図の真ん中にあるCSはキャッシュフロー計算書、つまり現金の動きを表す収支計算書です。簡単にいえば会社の家計簿です。私たちが日常で使う家計簿などの収支計算書は「収入」「支出」「残高」という3つの欄に分かれていますが、会社で使う収支計算書であるCSは少し違った分かれ方をしています。「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つです。

どうして「営業」「投資」「財務」の3つの欄に分かれているかというと、会社の基本活動である お金を集める → 何かに投資する → 利益をあげる という3つの活動を表すためなのです。どうやってお金を集めてきたかが「財務活動によるキャッシュフロー」、何に投資したかが「投資活動によるキャッシュフロー」、どうやって利益をあげているかが「営業活動によるキャッシュフロー」の欄に、それぞれ現金の動きという観点から表されています。

 多くのビジネスパーソンは「売上」と「利益」に責任を持って仕事をしています。ですから、ビジネスで大切なのは「売上」と「利益」と思っている人が少なくありません。しかし、事業全体のことを考えれば大切なのは「投資」と「リターン」です。

 いまここに年間10億円の利益をあげている会社があったとします。この会社はスゴイ会社でしょうか。実は10億円という利益の多寡だけではその会社がスゴイのかスゴクないのかはわかりません。

 例えば、私の会社のような零細企業が年間10億円の利益をあげているならスゴイことかもしれませんが、トヨタ自動車が年間10億円の利益では全く充分ではありません。事業全体のプロセスからいえば、どれだけ利益をあげたかということだけでなく、どれだけの投資に対してどれくらいの利益をあげたかということが重要であり、その投資のためにどのようにしてお金を集めてきたかということが大切になってくるのです。

■会社にとって大切な4つの数字
 ではこの お金を集める → 何かに投資する → 利益をあげる という3つの活動をどのような視点で分析していけばよいのでしょうか。財務諸表を作成する一番の目的は、会社の状況を会社の外の関係者(資本家や債権者など)に正しく伝えるためです。

 これからは「会社は株主のもの」という資本主義の論理にしたがって説明をしていきます。「会社は株主のもの」という視点に立って事業経営の効率性を考えれば、一番大切な財務分析指標はROEです。ROEとはReturn on Equityの略で、日本では「自己資本利益率」とよばれています。計算式は、当期純利益÷自己資本です(会計の初心者は、自己資本とは純資産の部の合計だと思っておいてください。一般的には、純資産の部の中にある新株予約権と少数株主持分は自己資本には入らないのですが、金額的にいえば自己資本と純資産合計には大きな差異がないのが普通です)。

 では、次にこのROEを事業全体のプロセスに分解して説明していきましょう。事業全体は お金を集める → 何かに投資する → 利益をあげる という3つのプロセスをからなっていると説明しました。経営者の仕事はこの3つのプロセスを効率よく運営することです。

 この3つのプロセスをさらに分解すれば次の図2のようになります。つまり、会社は自己資本(資本金など)か他人資本(借入金など)でお金を集めてきて、そのお金で資産(工場など)を調達します。そして、その資産を効率よく運営して売上高を作り、その売上高を効率よく利益に変えていくのです。

 ROEは当期純利益を自己資本で割ったものでした。このROEを事業全体のプロセスに分解して評価していきましょう。

 第1段階の「資産を取得するための資金を調達する」段階では「レバレッジ比率」という分析指標があります。これは他人資本(負債)と自己資本の比率です。

 第2段階の「資産を売上に変える」フェーズでの分析指標は総資本回転率(=売上高÷総資本)です。BSの右側の合計額を総資本といい、左側の合計額を総資産というので総資本と総資産の額は同じです。ですから、総資本回転率は、投下した総資本、言葉を替えれば総資産をどれだけ効率よく売上高に変えているかがわかる指標です。

 第3段階の「売上を利益に変える」フェーズの分析指標は当期純利益を売上高で割った当期純利益率ですね。売上をいかに効率よく利益に変えているかがわかる指標です。

 事業経営全体の効率性を理解する上で最も重要なのがROEであり、そのROEを事業全体のプロセスにしたがって見ていけば、レバレッジ比率、総資本回転率、当期純利益率の3つに分解されます。つまり、決算書を分析する上で極めて大切なのが、ROE、レバレッジ比率、総資本回転率、当期純利益率の4 つの指標なのです。

 この4つを見れば経営がどのように行われているかがおおよそわかります。逆にいえば、会計の初心者が会社を分析する場合は先ずはこの4つのポイントから押さえていけば、事業全体及び事業の各フェーズの効率性が評価できるのです。

■CSのパターンから会社の様子がわかる
 以上、会社にとって大切な数字を説明してきましたが、いままで説明した指標はPLとBSの数字を使って計算するものです。次はCSをどのように分析していくかを説明します。

 CSは現金の出入りをあらわす表ですから、それぞれ金額がプラス(+)になる場合とマイナス(-)になる場合があります。すると、「営業」「投資」「財務」の3つの欄のプラス・マイナスの組み合わせは、合計8パターンが考えられます。そして、このCSの8つの「+」と「-」のパターンで会社のおおよその状況が読み取れます。

 いくつか例をとって説明しましょう。例えば5番のパターンです。調子の悪い会社の典型です。営業キャッシュフローがマイナスになっています。これはつまり営業収益より仕入支出や給料支払などの営業支出のほうが多い会社です。営業活動を行えば行うほど現金がなくなっています。こんな会社はどこからかお金を集めてこなければなりません。財務キャッシュフローがプラスになっています。

 つまり、借入金や社債の発行によってお金を集めてくるわけです。さらにこの会社は投資キャッシュフローまでプラスです。投資キャッシュフローがプラスというのは誤解しやすいのですが、投資活動によって現金が入ってきているということです。つまり、自分が持っている土地や株券などの資産を売却してお金を集めているわけです。こんな「-、+、+」の状況が長く続けば会社はダメになってしまいます。

 逆に、3番のパターンは調子が良くて将来戦略が明確な優良企業の例です。調子の良い会社ですから、もちろん営業キャッシュフローはプラスで、営業活動によって現金を増やしています。将来の事業戦略が明確な会社は将来に向けて積極的に設備投資をします。ですから投資キャッシュフローはマイナスです。この将来の投資に必要なお金を自分で稼ぎだした営業キャッシュフローだけでなく、銀行からの借入れや株の発行によって調達してきているのです。なので、財務キャッシュフローがプラスになっています。

■会計の初心者のための財務分析のポイント
 会計の初心者が財務分析をする際に大切にすべきことは、財務諸表からザックリと会社の状況を理解することです。会計の初心者にとっての財務分析のポイントは、「PL・BS・CSを事業経営のプロセスに従って分析する」ということです。もっと具体的にいえば、財務分析とは財務諸表から次の5つのことを読み取ることにほかなりません。

(1)どのようにお金を集めてきているか
(2)それを何に投資しているか
(3)その投資した資産をいかに効率よく活用し売上高を作っているか
(4)その売上高をどのように利益に変えているか
(5)以上の事業全体のプロセスの中で現金がどのように動いているか

 そして、これらの事業全体のプロセスを分析するために活用する主要な分析指標が次ぎの4つなのです。

(1)ROE
(2)レバレッジ比率
(3)総資産回転率
(4)当期純利益率

 財務分析をするということは何かとても難しいことのように感じがますが、財務諸表に書いてあることは、会社がどのようにお金を集めてきて、それを何に投資していて、それら投資したものをいかに活用して売上をあげ、その売上をいかに効率よく利益に変えているかということだけです。したがって、私たちもそういう視点で財務諸表を読み解いていけばいいだけなのです。

参考サイト

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